永観堂の見どころや魅力についてご紹介
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永観堂は古くから紅葉の名所として名高く、「秋はもみじの永観堂」と言われるほど断トツ人気の古刹。境内一面に鮮やかな紅葉のグラデーションが広がります。万華鏡のように美しい光景です。
11月中旬ごろから紅葉が境内を彩りはじめ、見ごろを迎えるとあざやかな景色に変わります。
真っ赤に染まる秋の風景はまさに自然が作り出すアートの世界です。
永観堂の正式名称は、無量寿院禅林寺(むりょうじゅいんぜんりんじ)といいます。
本尊のみかえり阿弥陀さまが有名です。ふりかえる姿の阿弥陀さまで、阿弥陀堂でその貴重なお姿が拝見できます。
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永観堂といえば、放生池での眺めが最高にすばらしく、創建当時の平安時代より紅葉の名所として有名でした。
また明治時代には外国人にも人気のあった放生池、英文ガイドブックに「永観堂はモミジの頃がよい」と絶賛されていたのです。
放生池と紅葉を眺めながらお茶と和菓子でくつろげる「お休み処」もあり、憩いの場として大勢の人が訪れています。
永観堂では、毎年ライトアップが開催されます。ライトアップ開催時は人気のため大変混雑されますが、水面に映る紅葉の絶景が見られます。なんともフォトジェニックな「逆さモミジ」です。
永観堂は、その他シンボル的存在の多宝塔などたくさんの見どころがあります。京都おすすめの観光スポットです。
永観堂の歴史について
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弘法大師・空海の弟子である真紹(しんしょう)が平安時代初期に、真言密教の道場として創建された寺院です。
853年に歌人・文人である藤原関雄(ふじわらのせきお)の山荘を譲り受け寺院とし、863年に清和天皇より「禅林寺」の寺号を賜りました。
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そして禅林寺を大きく発展させたのが永観(ようかん)でした。
第七世住持の永観は、三論宗を学び名声を得ていた高名な僧でしたが、その名誉を捨てて禅林寺に住持されることを選びました。
永観は阿弥陀の救いを信じ、日課として一万遍の念仏を称えていたそうです。お寺は念仏道場となり栄えていきました。
永観は禅林寺の境内に薬王院という施設院を建立し、恵まれない人々を救っていました。
境内に梅の木を植え、薬食としてその実を病人などに施していたそうです。梅の木は「悲田梅(ひでんばい)」と名付けられています。
中興の祖とされる永観に由来して、禅林寺は永観堂と呼ばれるようになったのです。
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その後、鎌倉時代の初めに真言宗の僧侶であった静遍(しょうへん)が12代住職となります。法然上人の教えに感銘を受け念仏門入り、浄土教の教えに帰依したのです。
静遍は禅林寺11世を法然(永観堂に住したことはないが)とし、自らを12世として住持しました。その後、法然上人の高弟西山証空上人も永観堂に住持したと伝わります。
永観堂は、真言宗の道場として始まりましたが、浄土宗西山禅林寺派の寺院となったのです。
釈迦堂と庭園と悲田梅
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室町時代に建立された本格的な書院造りの釈迦堂です。「松鳥図」や「群仙図」の襖絵が飾られています。
釈迦堂の庭に重厚感のある高尚な雰囲気の「唐門(からもん)」があります。天皇の勅使が出入りする際に使われていたとのこと。唐門の前には盛り砂があり、勅使が身を清めるために踏んで通っていたそうです。
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永観が植えた梅の木「悲田梅」が見られます。
日本の歌人である鴨長明(かものちょうめい)の「発心集」に、この梅の木が載っています。梅の実を病人に施しており「悲田梅」と名付けられたことが記載されているのです。
梅の木は、今でも実をつけるそうです。
なぜふり返る姿の阿弥陀さまなのでしょう?
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本尊はふり返る姿の阿弥陀如来像でみかえり阿弥陀と呼ばれています。御影堂から階段を上った先にある阿弥陀堂に祀られています。
東大寺宝蔵に秘蔵されていましたが、永観がしまっておくのはもったいないと言われ、供養されるようになったのです。
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1082年、永観が念仏を唱え行道していると、阿弥陀像が突然歩き出し先導され始めたそう。驚き歩みを止めた永観に向かってふり返り「永観、遅し」と声をかけたとのこと。その時の斜め後ろをふり返っているお姿が間近で拝見できます。
優しく慈悲深い表情をされ、微笑まれているようにも見えます。声をかけてもらえそうな癒されるお姿です。
みかえり阿弥陀さまは、人々へ愛や情けをかけ、思いやりの心で周囲を見つめていらっしゃるお姿でもあるのです。
龍の姿に似ている【臥龍廊】
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上から見ると龍の背に見える廊下の【臥龍廊(がりゅうろう)】です。
山の斜面にそって巧みに作られています。【御影堂】と【開山堂】を結んでいます。
紅葉の撮影スポット・放生池
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放生池にはあざやかに色づいた紅葉が反映して、絵画のように美しい景色が広がっています。紅葉の時期には、大人気の撮影スポットとなり多くの観光客で賑わいます。
放生池の中ほどにたたずむ弁天社を望むと、橋の両側には素晴らしい紅葉のグラデーションが見られ感動的な景色です。放生池にかかる極楽橋の景色も極楽浄土な雰囲気で素晴らしいです。
永観堂の前身は、藤原関雄の山荘でした。この地のモミジについて詠まれた関雄の歌が「古今集」に載っており、古くから紅葉の名所だったことがわかります。
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明治の頃より永観堂は外国人にも人気だったようで、英文のガイドブックにはピクニックに最適な場所と紹介されていたようです。明治の頃より放生池は憩いの場として親しまれていたのですね。
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永観堂の多宝塔
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境内からは小高い山の上に建つ多宝塔が紅葉に囲まれているように見えます。階段を上り多宝塔まで到達すると、紅葉に包まれた境内と京都の町が一望できます。境内一の撮影スポットです。
永観堂へのアクセス・拝観案内
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市バス5系統「南禅寺永観堂道」バス停から徒歩3分
【拝観時間】9:00~17:00(受付終了 16:00)
【拝観料】一般 600円、小・中・高 400円
※ライトアップ情報などは「永観堂HP」をご覧ください。
京都市左京区永観堂町48
【京都おすすめの紅葉の名所】
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